


日本では、「桃色系トマト」の完熟品として「桃太郎」という品種が現在いちばん多く出回っています。熟してもしっかりした果実で、果肉がくずれにくい品種として開発されました。近年になって、西洋に多い「赤系トマト」には、抗酸化作用を持つとされる成分リコピンが多量に含まれていることが分かり利用が見直されています。

丸形やきんちゃく形、ひと口サイズの小なすから、中国産のへびなすのように長さ50センチもあるものまで、その形はバラエティに富んでいます。世界に目をむければ、色も紫、白、黄、緑、まだらなどさまざま。日本でも地方に在来品種が多くあり、西日本に多いのは、津田長、博多長、久留米長などの長なす類です。

江戸の昔から、冬至の日にかぼちゃを食べると、かぜや中風にかからないとか、福がくるなどといわれてきました。先人は太陽の恵みをたっぷり受けて完熟したかぼちゃを冬至まで保存し、緑黄色野菜の少ない冬場に備えたのだそうです。かぼちゃには、粘膜や皮膚の抵抗力を強くするカロテンが多く含まれています

「冬」という名がつきますが、れっきとした夏野菜の冬瓜(とうがん)。その名は、保存に適し冷暗所に置いておけば冬まで貯蔵できることに由来しています。水分が豊富で、体熱を下げる効果もあるので、夏バテしがちな季節にうれしい野菜です。最近では、低カロリーのダイエット食材としても注目されていて、種を乾燥させて空煎りし、お酒のつまみにすれば効果的な健康食にもなります。

江戸時代に中国から渡来し、観賞用に栽培されたことが起源で、元来は完熟したものを晩秋に果物として食べていました。しかし、沖縄県では「ゴーヤー(苦い瓜の意)」と称され、未完熟のものを夏野菜として食べており、この食べ方が広く普及したので、現在では夏の野菜として捉えられるようになりました。インドではピクルスやカレーに、中国系の人は蒸した果実を薄切りにし醤油をかけて薬味に、沖縄では代表的名ゴーヤーチャンプルになど、苦みの好きな人にはたまらない食材です。冷蔵庫に、中の種とワタをとってラップに包むと長期間保存できます。

イチョウの実は銀杏(ぎんなん、ぎんきょう)といい、茶碗蒸しなどの具に使われたり、酒の肴としても人気があります。西洋語での表記 “Ginkgo” は、西洋人が「ぎんきょう」を聞こえたままに書き写したもの(”Ginkyo”)を誤記したものだと言われています。ギンナン(イチョウ)にも栽培品種があり、大粒晩生の藤九郎、大粒中生の久寿(久治)、大粒早生の喜平、中粒早生の金兵衛、中粒中生の栄神などが主なものとして挙げられます。茶封筒に入れ、レンジで加熱するだけでできる簡単な調理法もぜひお試し下さい。

オクラには、カルシウム、鉄、ビタミンA、ビタミンCなどが含まれていて、疲労回復への効果が高い野菜です。独特のぬめりに含まれるムチンは胃壁を保護してくれる働きがあり、胃炎や胃潰瘍(いかいよう)などの緩和に役立ちます。またぬめり成分の中にはペクチンと呼ばれる食物繊維が豊富で、血糖値の急上昇を抑える効果もあり、糖尿病の予防にも役立つといわれています。表面の白い産毛が均一で、緑色がきれいなものが鮮度が良好です。

サラダ南瓜(コリンキー)は、生のまま食べれる不思議なかぼちゃです。普通のカボチャのように煮て食べてもホクホク感はありません。レモン色の果皮で柔らかく、皮ごとスパスパ切って使えるます。調理方法は、短冊に切り、軽く塩もみをして水洗い後、サラダやマリネ、フライパンで焼いてなど様々なアレンジを楽しめます。彩りもきれいなので、食卓を飾る話題性は十分の逸品です。

冬の季語でもある「カブ(蕪)」。糠漬けなどの漬物や味噌汁の具などで使われる球形の白い(※赤い品種もある)根のほか、「スズナ」と呼ばれる葉も食用で広く食されており、春の七草にも入っています。根は生のままでは硬いですが、汁物の中に入れるなどして加熱すると柔らかくなるので、美味しく頂くことができます。

日本を含む東アジア原産のしょうが科の多年草のことで、一般的に、根茎から出る卵形の短い花穂の部分を「みょうが」と呼んでいます。今では促成栽培に成功し年中出回っていますが、露地ものは夏から秋にかけて収穫されます。冷奴などの薬味として、最高の引き立て役をこなしますが、あまり多くは食べれないので保存法は要チェックです。
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